王瑞雲 ブログ。論文。

「新生存学の構築を! ー自己愛の大切さー」  王 瑞雲 Wang Rui-Yun

2020.12.10

つれづれに考えていますと、もう何とか80歳も超すことが出来、私の「人と人の世」の研究も終盤に近くなりました。8歳の時、病床の中、夢現で母に聞いたのです。そして教えられるまま医師になり、ずーっと観察を続けてきました。日本でしかわからない私ですが、一番感じるのは「子ども達は、本当の自己愛の大切さを教わっていない」ということです。溺愛は人をだめにします。親はいつ先に行くかわからないので、いつでも子どもとお別れする時のことを考えて、日々子育てする必要があります。

40歳代で夫婦共一年の内に癌で亡くなり、残された3人のお子さん達、8歳、10歳、15歳の人生を見てきた私です。小鳥や動物たちを見ていますと、まず親が子に教えているのはその生き物として、「食べてよいもの」を教えていますね。そして「住む、住める場所」を伝えている気がします。最後は動物の世界は本当に厳しく、いつ食べられてしまうか?食の連鎖の輪の中で存在していますのでで「敵から逃げる」というのを伝えている。其れだけでもうその小鳥や動物たちは一生を終えている気がします。考えて見ましたら、人だって動物ですから、その生きてゆける基本が抜けてしまったら、生きてゆけないのは当たり前です。ところが、私が日本で80年間 、戦後の日本での生活の中で学んできた限り、多くの子ども達は、可哀そうなくらいに、「生きる基本を教わっていない」。親である私たち時代から、もう伝えて実行する力を落としてしまったのです。

まず自分や自分の肉体や精神を、どう健全に維持するとよいのかわからないのです。私たち自体が生活に追われ、経済力を優先して、日本の経済再建に力を尽くしました、気が付けば子孫は自由、人権の名のもとに、人生の先輩の話は聞かなくて良いものとなってしまった気がします。新しい考え方そのものが、自分にとって素晴らしいものだという風潮を作り出してしまった気がします。昔の古臭いものには「生き抜いて自分へ生命をつないでくれた、ご先祖が苦労して生命がけで経験してくれた本当の知恵が受け取ることが出来なくなった」のです。もちろん私は、百パーセント、過去が良いとは考えていません。ご先祖の社会の中には、間違いもたくさんあり、眉を顰めるのの有るはずです。でも過去がなければ、今がない。何でも「良いとこ獲り」したい私は、現在が最高に良いチャンスと考えていますので、今の世界の様子は、考えさせられるのです。

日本で経験してみてきた、日本の若い人たちの純粋さ。悲しい限りです。本当に多くの子どもたちが病死しましたし、事故死、自死も少なくないのです。「売られているものに、体に悪いものあるはずがありません!」と23歳で癌死した女の子、17歳の時診察中の飴玉しゃぶりを私に注意され、口答えしたのです。20歳で卵巣がんでした。緊急で夜8時ごろ診察した18歳の男の子は、8歳に母親が交通事故死で、気が付いた時には肝臓がん。そして病院で肝臓を3分の一切除、退院の日、直前に手術の傷の糸が切れ、それでもそのまま退院させられ、家の中で一人うずくまっていた、そして夜私の医院へ運び込まれたのです。漢方薬と食養生で傷はきれいにふさがり、元気になり大学にも合格していました。でもまた食生活がおかしくなり一年生の夏には大腸がん。そしてさっさとサヨナラしました。私がかかわったのは、半年だけでした。後見人のご親戚の方が、あれこれ面倒を見ておられたそうですが、父親がもういいと言われ、関係が切れたそうです。ともあれ、子ども達は育てられたようにしか育ちません。

私は幼いころから「人の恐ろしさ」を経験学習してきましたので、生物としていつも自分を守ろうと警戒心は持っているつもりです。それでも65歳の自己破産の時は十数人の弁護士の先生方にお世話になったのですが、ある先生に笑われました。「おめでたいですね。何も世の中のことをご存じない。日本国民レベルです」と教わりました。私は世界の縮図は日本にある。良い意味で世界の知恵も日本に集まっていると感じているのです。ですから日本を学べば、私たちは、どうすれば生き延びられるか?が分かると考えているのです。私は経験上「日本の伝統統合医療」の考え方は、人類の自滅を救ってくれると信じているのです。でも反面、心配することがたくさんあります.今子どもたちは、外の情報に直接触れてしまうのです。どのくらいの力があるのかわからいですが、家庭での大人、両親、兄弟,などのフイルターもなく、直接世界中の情報の波にさらわれてゆく。人の世の恐ろしさも知らず、知識だけで分かった気になってしまうのです。人の親が子孫に伝えるべきことは沢山あって、最低これだけは伝いたいと考えても、受け取ってもらえない。診察していてもたくさんの大人の嘆きを聞いてきました。私から言えば「親の言うことの中から、良いとこどりできる素直さがある人は、大人になって少しは楽に生きられ」ます。でも不思議なことに頭が良い子どもたちは、過去の経験知識の引き継ぎは、無意味なものと考えるらしいのです。

教育システムでも知識偏重で、私の様なアナログ思考は捨ててしまう。まさに子どもたちのロボット化です。自分が生きていたかったら、世間や他人様に不快な思いや、悲しい思いをさせてはいけない、他人様を苦しめてはいけない。そして子ども時代は、大人になってきちんと生きてゆける学習時間で、その第一が食べてよいもの、食べていけないもの、、吸ってはいけないもの、皮膚に付けてはいけないもの、つまり体内へ取り入れてはいけないものを学ぶことです。そして親がいなくても自分で生きるための学習時間ですので、やるべきことがたくさんあるのです。本当の情報が第一ですので、何を仕事にしようとも、言語力は必要です。そして健康を維持、いざの時の手当の仕方で最低の健康維持方法を身に付けることです。どのようにして、自分を養うのか?他人にやとわれず、自分がイザの時でも仕事ができ、周りの人も自分も助けられる、そんな実力をコツコツ蓄える時間が子ども時代であり、若い時です。新コロナで、私たちは、社会として、だれも自分を助けてくれないものだと、学習しています。これから世界中、76億という人間社会で、みんなが生き延びるのに必死です。

最低の「住」「食」「医」が確保できれば、何とかしのげます。好き嫌い関係なく、奪われない財産を作って生き延びてほしいのです。私はお金がない家庭で育ちましたので、ほとんど独学ですが、今は昔に比べて学習するのに楽になりました。少なくても今日本には爆弾も降ってきていません。日本は、原子力の問題と、世界政治の「火を見る戦いに巻き込まれない」努力で、生き延びられると私は考えるのです。全て生命あるもの、生きてなければ意味ないのです。自分が生き延びる為にはどうすればよいのか?一人一人が考えればよいのです。子ども達に、自分を大切に自分を守る基本を伝えるのが、今の大人に要求される気がします。お金は追いかけても逃げてゆきます。イザの時は紙切れですし、「大切なのは一人づつの生命」としみじみ考える、モグラ生活をしているばあちゃんです。お若い皆様の道選びを見守っています。




〈文責 王 瑞雲〉